長尾健太郎さん。

長尾健太郎さんという方がお亡くなりになった。
直接の知り合いではないのだけれど、中高の2学年上の先輩で、なんでも天才だということで名前を知っていた。そして彼の名前をメディアで見るにつけ、勝手に誇らしい気持ちになっていた。
彼は数学オリンピックに中三から4回連続出場、銀1つ金3つをとった。その後は数学の道に進まれた。中学のときはとにかく成績がパーフェクトだというので有名だった気がする。

僕は算数が好きで、その好奇心も能力も小学校のときの塾での教育によるものが大きいと思っているのだが、その塾にたしか臨時で来た先生が面白い人だったんだが一回あまり良くない授業をやった。

その日は錐体の体積の求め方の勉強だった。
先生が、円錐が何たるかを説明して、それから、円錐に水を入れて底面積が同じ円柱にその水を流し込むってことをすると、ちょうど3回で終わる。だから円錐の体積は円柱の体積の3分の1だと言うのだ。

その説明を一通り聞いた後、僕は手を挙げて、「先生、それでなんで3分の1なんですか?」
と聞いた。

すると先生が「今説明したばっかりだろ、聞いてなかったのか」と怒るし、クラスのみんなも「いや今言ってたやん!」と僕の聞きたいことを分かってくれない。

それから、3分の1説は僕の中で謎のままだった。

中学生になって、長尾さんが書いた何かの雑誌かなにかの記事がクラスで配られた。そこには錐体の体積の求め方を小学生のときの長尾さんが自分で考えた話が載っていた。
錐体をたくさんの背の低い円柱に区切っていってそれから円柱の体積を足し合わせていく、といういわゆる積分のやり方だ。これを積分という概念を知らずに考えたというのだ。
そうやって自力で分かってしまったというところですごいなと思ったのだが、記事にはもっとすごいことが書いてあった。
正確な表現は忘れたが、「後にこの考え方が積分の考え方だと知って、がっかりした」と言うのだ。
もし僕が奇跡的にこんな証明を思いついてあとでこれが積分だったと知ったら、過去の数学の偉人たちに近づけたと大喜びすると思うのだが、それを「自分が最初の発見者ではなかった」とがっかりしたというのだ。

(でももしかしたら積分そのものではなく、上のように計算するときに出てくる自然数の2乗和の公式のところに難しさがあったのかも。忘れたけど。)

これは今でも覚えていることだ。

ちなみに錐体と言えば、小学校6年生のときに小学校の授業で先生がクラスの皆になぜ体積が3分の1になるのか考えろと言ってみんながいろいろ持論を黒板で展開するという授業があった。お題的には今から考えると無茶ぶりな気もするが、こういう授業が今の自分の考える力を作っていったんだと思う。

ちなみにこの授業でも僕はこれといった証明を思いつかずに謎の理論を黒板で何度も展開してクラスの皆を困らせた記憶しかないのだが、友達が面白いアイディアを考えついた。
立方体の真ん中に点を取って各頂点と結ぶと四角錐が6つできる。これを使って3分の1の謎を証明しようと言うのだ。なかなか賢い。
彼は今、銀行で働いている。

そういえば小学5年生のときにも同じようなことがあった。またも先生の名誉のために断っておくと彼も想像力をかき立てる授業をいろいろしてたとは思うのだが、一度良くないときがあった。
三角形の3角の和をとるとなぜ180度になるかと皆に問うので、僕が真っ先に手を挙げて錯覚とか対頂角が等しくなるという性質を用いた説明をした(実は昔疑問に思って親に聞いたら親が二人で考えて教えてくれたのだ)。
でもなんだかそれでは先生は納得せず、そしたら別の子が「三角形を3つに切り取っ角っこをぴたっと合わせるとちょうどまっすぐな線が出来るので180度です」という説明をした。
いやそれはないだろうと思ったら、「その通り!」と先生は絶賛していた。どういうこっちゃ。ちなみにこの3角形を切る説はちょうど教科書に載っていた説明だ。

長尾さんは、頭がいいだけではなく、顔もかっこいいし、性格もいいらしいし、運動も出来るっぽいし、僕の中で、あまりよく知らないけど、届かない、とにかくすごい、存在だった。
中三のときからの持病だったらしい。
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by ycam24 | 2013-11-07 17:20