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淡い泡沫

隣に座った高畑淳子のような雰囲気の女性が赤ワインを頼んだので、僕も赤ワインを頼んだ。
もうそれなりに飲んできたし、飲んだところで見れる夢が増えそうな訳ではないのだが、飲んだところで失う物もなかろう。
もしかしたら赤ワインのおかげでぐっずり眠れるかもしれない。

旧友に別れを告げラウンジに着いた頃には既に、足取り軽やかではなかった。
この一週間の疲労が背中の辺りを締め付け、ソファーにずっくりと体重を任せた。
一人で飲むスパークリングワインには色気がない。
ボトルが開けたてではなかったから、泡沫も少し侘しげである。
ピンク色に様々な妄想を託してみるも、これからまた始まるであろう日常が、その淡さを奪っていく。

自分などほとんどが嘘で出来ているので、
赤ワインを飲むか白ワインを飲むか、そういった気分も明快に分かる。
もちろん、それはワインでなくても構わない。
頼んだ物が出てきた頃には、それが何だったかなど忘れている。

小学生のとき異様な雰囲気のするビルだと思ってたのは、なんのことはない、居酒屋がいくらか入ったビルということだった。
6才の時からの友人とは、ビールしか飲まなかった。
それは、二人の恩師が地元で開かれた同窓会で、ビールの一点張りだったからだ。
銀座の隠れ家レストランに連れて行く時には、きっとワインボトルを開けるんだと思う。

渋谷では日本酒を飲んだ。



12才の時からの友人の結婚式に出た。
その式に参列した友人がこのブログを呼んでいると言ったので、久しぶりに書いてみている。

年月が経っても、関係は変わらない。
そもそも関係とは何か。
友達とどのように接するのが適切なのか。

年を重ねて人間関係が複雑になったと感じるのは多分錯覚だが、
その錯覚のせいで見栄をはったり小さな嘘をついたり、
そんなことが増えてきている気がする。
それでも、自分にだけは正直でいようと思う。

このブログを読んでいる友達は、スイスに旅立った。

(これは、2016年3月30日に保存してあった文章です。タイトルは今日つけました。)
by ycam24 | 2016-11-22 16:57