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2016年ももうすぐ終わりなので、自分の仕事に関して今年を振り返り来年の抱負を語ろうと思います。
できるだけ具体的に。

今年の初めに、論文を20回投稿するという目標を立てました。結局、16回しか投稿できませんでした。
ちなみに、カウントはのべ数です。つまり、ある論文がリバイズ要求やリジェクトによりもう一度投稿される場合には、複数本投稿と見なします。
20回は不可能な目標ではなかったはず。年始に自分の論文/プロジェクトをエクセルにリストアップし、2016年に普通に頑張ったら何回投稿できそうかをカウントし足しあわせたら19だったんです。
というわけで、敗因は、「努力不足」だと思います。
今日また同じようにリストアップしたら、34回だったので、2017年の目標は35回にしようと思います。

エクセルにリストアップする論文投稿の数が19から34に増えたのこそ、努力の証じゃないか!
と思うかもしれませんが、
これは単に今年の投稿数と来年の投稿数がsubstitutesの関係にあるので、今年頑張らなかった分来年頑張らなきゃいけない、ということです。

あと、今年は(主に心の中で)現状に文句ばかり言って一人部屋のオフィスでくすぶっていたと思います。
2017年はバリバリ仕事をして目立っていこうと思います。
具体的には?
我々の業界で目立つというのの指標は論文引用数とセミナー/カンファレンストークとoutside offerだと思います。これらは長期的な努力が実を結ぶもので1年そこらたまたま気合いを入れたところでどうこうなる話ではありません。
が、短期的効果もなくはないとも思います。
というわけで、今Google Scholar見たら僕の総引用数が306なんですが、これを400以上にしたいと思います。最近は1年で50くらい引用されてるようなので、2倍気合いを入れるということですかね。
トークは、最近少なめ(年に5回くらい)だったので、今年は10個くらいやりたいです。
Outside offerについては、あっても結局書けなかったりするので、具体的な目標を書くのはやめておきます。
あ、あと、一般向けに何かやりたいぞ。これはまだ具体的には何もないんだけど。

あと私生活では、ボルダリング頑張るのと、絵を始めたいのと、読書をもうちょっと頻度高くしたいな。

以上。
2017年もヨロシク!
# by ycam24 | 2017-01-01 16:31
「男だけで来て楽しいの?」
横須賀の浜辺で女の子が言った。
僕の隣に座った彼女のメイクはケバケバしくて、僕の好みではなかった。
彼女の連れの女の子は、僕の友達と何やらしゃべっている。

じりじり暑い夏の日、僕らは駅のホームで待ち合わせた。
遅刻してきた友達と、二人で海へ向かう。
夏休み。

浜辺での光景は、この二人組の女たちのこと以外ほとんど記憶にない。
友達が少し前に知り合った女の子たちらしかった。

海は東向きなので、日没は知らずとやってくる。
日が沈む頃には、もう人もまばらになって、
暗くなると、昼には大盛況だった浜辺を僕らはボールを追いかけて走り回った。

あの時僕は大学生だったかもしれないし、高校生だったかもしれない。
浜辺への道も、浜辺で昼間何をして遊んだかも、覚えていない。
覚えているのは、
待ち合わせの時の視界が白くなるくらいの日差しと、
あの女の子たちのケバい顔と、
日が沈んだ後のサッカーと、
夕食に友達と二人で入ったファミレス。

「おう、楽しいよ」
僕はこの友達と、どうも女の趣味が合わない。


(これは、2016年4月20日に保存してあった文章です。タイトルは今日つけました。)
# by ycam24 | 2016-11-29 15:35
隣に座った高畑淳子のような雰囲気の女性が赤ワインを頼んだので、僕も赤ワインを頼んだ。
もうそれなりに飲んできたし、飲んだところで見れる夢が増えそうな訳ではないのだが、飲んだところで失う物もなかろう。
もしかしたら赤ワインのおかげでぐっずり眠れるかもしれない。

旧友に別れを告げラウンジに着いた頃には既に、足取り軽やかではなかった。
この一週間の疲労が背中の辺りを締め付け、ソファーにずっくりと体重を任せた。
一人で飲むスパークリングワインには色気がない。
ボトルが開けたてではなかったから、泡沫も少し侘しげである。
ピンク色に様々な妄想を託してみるも、これからまた始まるであろう日常が、その淡さを奪っていく。

自分などほとんどが嘘で出来ているので、
赤ワインを飲むか白ワインを飲むか、そういった気分も明快に分かる。
もちろん、それはワインでなくても構わない。
頼んだ物が出てきた頃には、それが何だったかなど忘れている。

小学生のとき異様な雰囲気のするビルだと思ってたのは、なんのことはない、居酒屋がいくらか入ったビルということだった。
6才の時からの友人とは、ビールしか飲まなかった。
それは、二人の恩師が地元で開かれた同窓会で、ビールの一点張りだったからだ。
銀座の隠れ家レストランに連れて行く時には、きっとワインボトルを開けるんだと思う。

渋谷では日本酒を飲んだ。



12才の時からの友人の結婚式に出た。
その式に参列した友人がこのブログを呼んでいると言ったので、久しぶりに書いてみている。

年月が経っても、関係は変わらない。
そもそも関係とは何か。
友達とどのように接するのが適切なのか。

年を重ねて人間関係が複雑になったと感じるのは多分錯覚だが、
その錯覚のせいで見栄をはったり小さな嘘をついたり、
そんなことが増えてきている気がする。
それでも、自分にだけは正直でいようと思う。

このブログを読んでいる友達は、スイスに旅立った。

(これは、2016年3月30日に保存してあった文章です。タイトルは今日つけました。)
# by ycam24 | 2016-11-22 16:57
散歩中、夜空に、半月より少し太ったのが見える。
目が悪くてぼやけている分を差し引くと、今日は上弦の月といったところだろうか。

今朝起きていつものようにFacebookを開けると、バンというあだ名の中高時代の国語の先生の訃報があった。
人は死ぬと急に尊くなるわけではないが、
急に思いを巡らすことにはなる。

教室での僕の席はいつも一番前の真ん中で、
僕は授業の初めと終わりの号令の時に少しずつ先生としゃべるのを楽しんでいた。
初めに喋って、授業は全部寝て、それで終わりの号令の時にまた与太話をするということもあった。

あるときバンが、これも号令の時に、
最近癌だと言われて随分落ち込んでいたが、実は大丈夫だった、という話を、僕にしてきた。
僕はへえそうなんですかとか言ったのかもしれない。

バンが授業で読んでいた本は定期試験前ですら読まなかったのに、
最近は思い出したように、読書をするようになった。
昨夜は、少し酔ったせいか、ハードスケジュールの一日の疲れか、読みかけの「ザボンの花」の章の区切りがつかないうちに、寝てしまった。

バンの状況が芳しくないのは、実は少し前から聞いていた。
年賀状を数年ぶりに書こうと思って、そう言えばバン引っ越したらしいなと思い住所を友人に聞いたら、
もう手紙を理解することすらできないとのことだった。

子供を幼稚園に送った帰り道は、だいたい緩やかな下り坂をなんとなく運転する。
バンは、生徒の結婚式に出るのが夢であったとのこと。
そんなこともっと早く言えよ、と呟く。
思いを馳せれば馳せるほど、なんだか唇がとんがってきて、家に着いてドアを開ける前に、いつもよりは少し湿った目脂を取ることになる。

最近は毎日一万歩以上歩くのを日課にしていて、夜になって歩数が足りないと、散歩に出かける。
気持ちのいい散歩コースがあるわけでもないし、格別の虫の音が聞こえるわけでもないので、
無理やり感傷的になることもない。

夕食時の赤ワインが少しも回らないうちから、どうも誰かに言わずにはいられないので、
「中高の時にね、学年主任というのがあるんだけど、あ、各組にそれぞれ担任の先生がいてさ、」
と言ったところで、妻はどこかに行ってしまって、
それきり話すのもやめてしまった。

携帯で調べると今日の月は上弦の月よりも実際太っているようである。
そう思ってみるとそうも見える。
時刻を頼りに形を類推しても良かったが、夏時間であることも相俟って、そもそも日没の時間が分からない。

バンは酒が好きだったらしい。
もたもたしてないで、いつだって日本に帰った時に、今度飲みに行こうよって、バンを誘っておけば、結婚式には呼ばなかったけれど、成長した自分を少しは見せられたかもしれない。
今だったら、「先生、僕も最近は読書をしてるんですよ」なんて言うんだけどな。
# by ycam24 | 2016-10-12 14:18
石川町。
ハマっ子には馴染みのない「元町中華街駅」と、我らが元町をつなぐ、由緒正しい根岸線の駅が、この石川町だ。
ここから元町方面に少し歩くと、サンマルクカフェがある。
僕が大学4年生の頃、多分その頃、
このカフェではいつもDaniel Powterのデビューアルバムが繰り返し繰り返し流れていた。

母は洋楽が好きで、特にElton Johnのファンだ。
僕が渡米する少し前は、Daniel Powterにハマっていて、一緒にライブにも行った。

僕は経済学を学び始めた頃、右も左もわからず、難しそうな論文を見つけては印刷し、カフェに行って読んでいるふりをした。
もちろん内容は分からないのだが、面白そうな論文が引用されるたびに、メモ帳にそれを書き留める。
そのうちそれを研究室で印刷して、カフェで読むふりをするためだ。

そうやって読んだ一つの論文が、Geanakoplosという人と、Polemarchakisという人の、論文だ。
この謎めいた名前の二人の謎めいた論文を、僕は食い入るように読んだ。

同僚と飲むと、お前のfavorite paperは何かという話になって、僕が迷わず答えるのが、
このGeanakoplos and Polemarchakisだ。1982年の論文。

僕が行くカフェは決まってこの石川町のカフェか、それか港南台のモスバーガーだった。
僕の団地から歩いていける深夜のモスバーカーには、いつも閉店間際の決まった女性店員がいて、
いつまでたっても僕に注文を聞き、
いつも僕は同じコーヒーを頼んだ。
僕はいつも同じ席に座り、難しそうな教科書を広げて満足した。
僕はこの店員とそれ以上の関係を望まなかったし、それが店員の人生のようだった。無論僕は傲慢である。

正確には、4人でライブに行った。僕と、母と、弟と、僕の彼女だ。
僕もElton Johnが好きで、それは変わることはないだろう。
Daniel Powterも好きだ。あのカフェに行ったら、今度はどんな曲が流れているんだろう。
そういえばこの前久しぶりにこのサンマルクカフェに行ったら、ブラックコーヒーが値上げされていた。
BGMも記憶にないから、きっとDaniel Powterじゃなかったんだろう。

今日、Polemarchakis氏に会った。彼に僕の研究を聞いてもらった。僕の興奮はまだ醒めやらない。
これは誰にも理解されないだろう。
誰に話したとしても理解されないと思うので、こうやって全世界に向けて宣言しようかなと思う。
今日は本当に嬉しかった。
# by ycam24 | 2016-09-27 14:29